【航空法とドローン】飛行許可・承認が必要な10のケースを行政書士が解説種別:解説記事

この記事のポイント
  • 無人航空機(100g以上のドローン等)を飛行させる際は、「飛行する場所」に係る許可が必要な4つの空域と、「飛行する方法」に係る承認が必要な6つの飛行がある
  • 4つの空域に該当しない場所は多いが、「③人または物件から30m未満での飛行」に該当しない方法は少ない(特に都市部)。該当しない方法が少ないため、業務利用ではほぼ確実に許可・承認の取得が必要
  • 100g未満の機体は航空法の対象外だが、小型無人機等飛行禁止法による飛行禁止区域には注意が必要
  • 空港周辺・150m以上・人口集中地区の許可を持っていても、緊急用務空域に指定されている間はその空域を飛行できない
  • 技能証明(国家資格)を保有していても、特定飛行に該当する場合は原則として許可・承認が必要

「今やっている事業にドローンを活用したい」「空撮を仕事にしたい」という方が増えています。ドローンは比較的簡単に購入できますが、飛行させるためには航空法上のさまざまなルールを守る必要があります。「知らなかった」では済まされません。

この記事では、無人航空機(ドローン等)を飛行させる際に必要となる「飛行許可」と「飛行承認」について、行政書士がわかりやすく解説します。

目次

航空法と無人航空機(ドローン等)

平成27年9月の航空法改正により、同年12月10日から無人航空機の飛行ルール(航空法第11章)が導入されました。航空法上の「無人航空機」とは、飛行機・回転翼航空機・滑空機・飛行船のうち、構造上人が乗ることができないもので、遠隔操作または自動操縦により飛行させることができるもの(100g未満の重量のものを除く)をいいます。

航空法における無人航空機の分類

100g未満のドローンは飛行許可・承認は不要?

無人航空機のうち100g未満のものは航空法上の「無人航空機」には該当せず、機体登録・技能証明・飛行許可承認といった航空法の規制の対象外です。

100g未満の機体は航空法の対象外ですが、どこでも自由に飛ばせるわけではありません。「重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律(小型無人機等飛行禁止法)」の対象施設の周辺では、重量にかかわらず飛行禁止区域に該当する場合があります。

小型無人機等飛行禁止法の対象施設には、国会議事堂・内閣総理大臣官邸・最高裁判所庁舎・皇居・政党事務所・外国公館等・原子力事業所・空港・防衛関係施設等が含まれます。これらの施設の周辺で模型航空機等を飛ばしたい場合は、飛行許可が必要かどうか事前に確認してください。

飛行許可が必要な4つのケース(飛行する場所)

無人航空機(ドローン等)を飛行させる際に「許可」が必要となる空域は、以下の4つです。

飛行許可が必要な4つの空域

区分空域概要
(A)空港等の周辺の空域空港等の周辺で、進入表面等の制限がかかる空域
(B)緊急用務空域警察・消防等の緊急用務のための航空機の飛行が想定される場合に指定・公示される空域
(C)地表または水面から150m以上の空域標高ではなく「地表または水面からの高さ」が基準
(D)人口集中地区(DID)の上空総務省統計局の国勢調査に基づき指定される地区の上空
空港等の周辺・150m以上の空域・人口集中地区上空の許可(包括許可を含む)を取得していても、緊急用務空域を飛行させることはできません。飛行前に、飛行させる空域が緊急用務空域に指定されていないかを必ず確認してください。

(A) 空港等の周辺の空域

空港周辺だからといって、必ず許可が必要というわけではありません。空港等の周辺がどの範囲にあたるかは、国土地理院の地図で確認できます。また、その空域内であっても、高さによっては許可が不要な場合があります。各空港事務所のウェブサイトにある「高さ制限回答システム」で確認できます。

空港等の周辺の制限空域

空港ごとに許可が不要となる高さの基準が異なるため、必ず「高さ制限回答システム」で確認するか、当該空港事務所に問い合わせてください。

(B) 緊急用務空域

山火事の消火活動中に、状況確認をしたい一般の方のドローンが飛来し、消火活動が一時中断した事例を受けて、緊急用務(警察・消防等)のための航空機(主にヘリコプター)の飛行が想定される場合に、無人航空機の飛行を原則禁止する空域として「緊急用務空域」が指定・公示されることになりました。

無人航空機を飛行させる者は、飛行開始前に、飛行させる空域が緊急用務空域に該当しないかを確認する義務があります。これまでに林野火災等の際に緊急用務空域が指定された実績があります。緊急用務空域での飛行は罰則の対象となります。

緊急用務空域のイメージ

緊急用務空域は国土交通省のウェブサイト等で公示されます。緊急用務空域での飛行許可を申請しても、消火活動等に直接関わる者でない限り許可が下りる可能性は低いと考えられます。

(C) 地表または水面から150m以上の空域

地表または水面から150m以上の高さで無人航空機を飛行させるには、飛行許可が必要です。これは航空機と無人航空機との衝突を防止するための規制です。

高低差がある場所での150mの考え方

基準となるのは標高(海抜)ではなく「地表または水面からの高さ」です。山や谷など高低差のある場所で飛行させる場合、知らないうちに150m以上の高さに達していることがあるため注意が必要です。

(D) 人口集中地区(DID)の上空

業務でドローンを使用する場合、人口集中地区(DID:Densely Inhabited District)の許可申請が必要となるケースが非常に多くなります。人口集中地区かどうかは国土地理院の地図で確認できます。人口集中地区は総務省統計局の国勢調査に基づき、5年ごとに更新されます。

人口集中地区の地図表示例

「私有地だから」「人がいないから」という理由で許可が不要になるわけではありません。人口集中地区に該当する場所であれば、自宅の庭であっても飛行許可申請が必要です。

承認が必要な6つのケース

承認が必要な6つのケース(飛行の方法)

「許可」が飛行する場所に着目するのに対し、「承認」は飛行の方法に着目するものです。場所にかかわらず、以下の6つの飛行方法を行う場合は国土交通大臣の承認が必要です。

区分飛行の方法
夜間飛行
目視外飛行
人または物件から30m未満での飛行
催し場所(イベント)上空の飛行
危険物の輸送
物件の投下

事業としてドローンを運用する場合、目視外飛行・30m未満の飛行・人口集中地区(DID)の許可承認はほぼ必須です。イベント上空飛行・危険物輸送・物件投下は、行う事業の内容によって必要となります。

① 夜間飛行

日没後から日の出前までの時間帯に無人航空機を飛行させるには、国土交通大臣の承認が必要です。日没・日の出の時刻は国立天文台が発表しており、地域によって異なります。

夜間飛行の承認を取得しても、操縦者は機体を肉眼で視認できる範囲内で操縦する必要があります(目視外飛行は別途の承認・体制が必要)。夜間飛行を行う際は、機体の位置を確認できるよう灯火(LEDライト等)を装備する必要があります。

② 目視外飛行

目視外飛行とは、操縦者が自分の目で直接機体を見ずに飛行させることをいいます。空撮や点検作業では、手元のモニター画面を見ながら操縦することが一般的であるため、ほとんどの場合、目視外飛行の承認が必要です。

カーナビを見るのと同程度の数秒間であれば目視とみなされる場合がありますが、業務でモニター画面を継続的に見ながら飛行させる場合は目視外飛行に該当します。自分で申請を行う場合、この承認の取得漏れが多いため注意してください。

目視外飛行を行うために必要な体制

飛行経路および周辺を事前に確認し、適切なルートを設定すること
飛行ルート下に第三者がいないことを確認すること
双眼鏡等を持った補助者を配置し、飛行状況・気象状況を常時監視すること
操縦者は目視外飛行に必要な訓練を受けた者であること

③ 人または物件から30m未満での飛行

人口集中地区と並んで、申請数が非常に多い項目です。ここでいう「第三者」とは、ドローンの飛行に直接・間接的に関わっていない人(車・バイク・自転車に乗っている人や歩行者等)を指します。

人または物件から30m未満のイメージ

電柱・電線等も第三者の物件に該当する例

「第三者が管理する物件」には、電柱・電線・信号機・街灯なども含まれます。「田舎で周りに人がいないから」という理由だけで許可承認が不要になるわけではありません。なお、映画等の撮影において被写体となる出演者は第三者には該当しません。

④ 催し場所(イベント)上空

「特定の日時・特定の場所に不特定多数の人が集合するかどうか」を、主催者の意図等も考慮して総合的に判断します。

不特定多数が出入りできるイベント上空でドローンを飛行させる場合は、立入禁止区画の設置が必要です。立入禁止区画の範囲は、飛行高度に応じて以下のように定められています。

飛行高度立入禁止区画(飛行範囲外周からの距離)
20m未満30m以内
20m以上50m未満40m以内
50m以上100m未満60m以内
100m以上150m未満70m以内

立入禁止区画の設置イメージ

立入禁止区画はワイヤー等での係留や、ネット等による隔離でも代替できる場合があります。イベント当日にドローンを飛ばす範囲を急に決めることはできません。イベントの企画段階から飛行範囲・立入禁止区画を検討する必要があるため、できるだけ早めにご相談ください。

⑤ 危険物の輸送

主に農薬散布が該当します。技能証明を保有し、機体登録を済ませていても、危険物輸送を行う場合は別途承認が必要です。なお、ドローン飛行用のバッテリーや燃料は危険物には該当しませんが、輸送する予備バッテリーは危険物に該当します。

⑥ 物件の投下

農薬・水・霧状の物質の散布も「物件投下」に該当し、承認が必要です。一方、地面に物を「置く」場合は承認不要です。物流・配送の実証実験等を行う場合は、念のため承認を取得しておくケースがほとんどです。

飛行許可承認まとめ

無人航空機(ドローン等)を飛行させる際は、以下の4つの空域6つの飛行方法に注意する必要があります。

許可が必要な空域(場所)承認が必要な飛行方法
(A) 空港等の周辺の空域① 夜間飛行
(B) 緊急用務空域② 目視外飛行
(C) 150m以上の高さの空域③ 人または物件から30m未満での飛行
(D) 人口集中地区(DID)の上空④ 催し場所(イベント)上空
⑤ 危険物の輸送
⑥ 物件の投下

これら10のケースのいずれにも該当しない飛行であれば許可・承認は不要です。4つの空域(A〜D)については、該当しない場所も多くあります。しかし、6つの飛行方法のうち「③人または物件から30m未満での飛行」に該当しないケースは少なく、特に都市部では電柱・電線・信号機・建物などが至る所にあるため、30m以上の距離を確保して飛行させること自体が困難です。そのため、該当しない方法が少ないことから、ドローンを業務で使う場合は許可・承認の取得がほぼ必須になると考えておくべきでしょう。

技能証明(一等・二等無人航空機操縦士)を保有している場合でも、特定飛行(航空法第132条の85及び86に規定する飛行)に該当する場合は、原則として許可・承認が必要です。ただし、機体認証を受けた機体と技能証明を組み合わせることで、一部の飛行について許可・承認の手続きを省略できる場合があります。詳細はドローン国家資格に関する記事をご覧ください。

航空法上のルールは「バレなければ良い」というものではありません。ドローンに関するルールは、事故やトラブルが発生するたびに改正・厳格化される傾向にあります。ルールがこれ以上厳しくならないためにも、一人ひとりが法律を守って飛行させることが大切です。

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よくある質問

100g未満のドローンは飛行許可・承認が不要ですか?
100g未満の機体は航空法上の「無人航空機」には該当せず、機体登録や飛行許可・承認の対象外です。ただし、小型無人機等飛行禁止法の対象施設(国会議事堂・首相官邸・原子力事業所・空港等)の周辺では、重量にかかわらず飛行禁止区域に該当する場合があります。
技能証明(国家資格)があれば飛行許可・承認は不要になりますか?
技能証明を保有していても、特定飛行(航空法第132条の85及び86に規定する飛行)を行う場合は原則として飛行許可・承認が必要です。ただし、機体認証を受けた機体と一等・二等無人航空機操縦士の技能証明を組み合わせることで、一部の飛行(カテゴリーIIB飛行等)について許可・承認の手続きを省略できる場合があります。
緊急用務空域とは何ですか?
緊急用務空域とは、警察・消防等が緊急用務のための航空機(主にヘリコプター)を飛行させる可能性がある場合に、国土交通省が指定し公示する空域です。空港周辺・150m以上の空域・人口集中地区上空の許可を取得していても、緊急用務空域に指定されている間はその空域を飛行させることはできません。飛行前に必ず確認する必要があります。
夜間飛行と目視外飛行は同時に行えますか?
夜間飛行の承認を取得していても、目視外飛行が許容されるわけではありません。夜間に飛行させる場合も、目視外飛行についての別途の承認・体制が必要です。夜間飛行の承認を取得した上で目視内で飛行させる場合は、操縦者が機体を肉眼で視認できる範囲内に限られます。
人口集中地区(DID)かどうかはどこで確認できますか?
国土地理院の地図で確認できます。人口集中地区(DID:Densely Inhabited District)は総務省統計局の国勢調査に基づき指定され、5年ごとに更新されます。私有地や人がいない場所であっても、人口集中地区に該当すれば飛行許可申請が必要です。
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