レッドゾーン・イエローゾーンの罰則の違いと、小型無人機等飛行禁止法の事前通報手続きを行政書士が解説

この記事のポイント
- レッドゾーン(対象施設の敷地・区域)での無許可飛行・命令違反:1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
- イエローゾーン(周辺おおむね1,000mの地域)での無通報飛行:6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(令和8年7月14日施行の改正で直罰化)
- 例外的に飛行するには①施設管理者への同意申請と②都道府県公安委員会等への事前通報の両方が原則必要
- 都道府県公安委員会等への事前通報は飛行の48時間前までに、管轄警察署を経由して
- 通報は警察署窓口のほかe-Gov電子申請サービスでオンライン提出も可能
- 通報書には飛行区域を示す地図・機器の写真・同意を証明する書面の写し等の添付が必要
小型無人機等飛行禁止法(正式名称:重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律、平成28年法律第9号)には、規制の強さが異なる「レッドゾーン」と「イエローゾーン」の2つの区域があります。それぞれ罰則の内容が異なり、混同すると思わぬ処罰につながる可能性があります。
この記事では、警察庁の公表資料に基づき、レッドゾーン・イエローゾーンの罰則の違いと、重要施設周辺で例外的に飛行するために必要な「事前通報」の具体的な手続きを解説します。
目次
レッドゾーンとイエローゾーンの違い
小型無人機等飛行禁止法では、対象施設の敷地・区域とその周囲おおむね1,000メートルの地域、いずれも原則として飛行が禁止されています。ただし、それぞれ認められる例外の範囲が異なります。
| 区分 | 範囲 | 飛行が認められる例外 |
|---|---|---|
| レッドゾーン | 対象施設の敷地または区域 | 施設管理者の同意を得た者が行う飛行(①)。警察庁の公表資料によれば、対象防衛関係施設・対象空港以外の対象施設では、②③の例外も適用される |
| イエローゾーン | 対象施設の敷地・区域の周囲おおむね1,000メートルの地域(令和8年7月14日施行の改正で300mから拡大) | ①施設管理者の同意を得た者、②土地の所有者・占有者(正当な権原を有する者に限る)またはその同意を得た者、③国・地方公共団体の業務を実施するために飛行させる者 |
いずれのゾーンも一律禁止ではなく、例外要件(施設管理者への同意申請、都道府県公安委員会等への事前通報)を満たすことで飛行が可能です。ただし、対象防衛関係施設・対象空港のレッドゾーンでは例外が「施設管理者の同意を得た者」(①)のみであるのに対し、イエローゾーンでは土地所有者等の同意や公的業務による例外(②③)も認められており、例外の範囲が異なります(防衛省・警察庁公式HPより)。
罰則の違い
| 違反内容 | 罰則 |
|---|---|
| 対象施設・その指定敷地等の上空で小型無人機等の飛行を行った場合、 または警察官等の命令(機器の退去等)に違反した場合 |
1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
| イエローゾーンで事前通報等の要件を満たさずに飛行を行った場合 | 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
令和8年7月14日施行の改正前は、イエローゾーンでの違反は「警察官等による退去命令等を経て、その命令に従わなかった場合」に初めて罰則の対象となっていました。改正後は、この過程を経ず飛行そのものが直接罰則の対象(直罰化)となっています(警察庁公式HPより)。
警察官等は、法律違反者に対して機器の退去等の措置を命じることができるほか、一定の場合には、小型無人機等の飛行の妨害・破損その他必要な措置をとることができます(対象施設の管理者等に対して当該措置をとることを命じることを含む)(警察庁公式HPより)。
例外の3類型と、類型ごとの手続き・様式
警察庁の公表資料では、飛行禁止の例外は次の3類型とされています。例外に当たる場合でも、対象施設周辺地域の上空で飛行させるときは都道府県公安委員会等への通報が必要です。
| 例外の類型 | 通報書の様式・添付書類 | 適用される範囲 |
|---|---|---|
| ① 対象施設の管理者又はその同意を得た者による飛行 | 規則第3条関係の別記様式第1号。同意を証明する書面の写しを提出 | レッドゾーン・イエローゾーンの双方。対象防衛関係施設・対象空港のレッドゾーンで認められるのは①のみ |
| ② 土地所有者等又はその同意を得た者による、その土地の上空の飛行 | 警察庁の「通報手続の概要」では、②の場合の様式・添付書類は個別に示されていません。管轄の警察署に確認してください | 対象防衛関係施設・対象空港のレッドゾーンには適用されない |
| ③ 国又は地方公共団体の業務実施のための飛行 | 規則第4条関係の別記様式第2号。委託を受けた事業者が飛行する場合は、委託を証明する書面の写しを提出 | 対象防衛関係施設・対象空港のレッドゾーンには適用されない |
民間事業者が撮影や点検の依頼を受けて飛行する場合、実務上は①(施設管理者の同意)で整理するケースが大半です。国・地方公共団体から委託を受けて飛行する場合は③に当たり、委託を証明する書面の写しが必要になります(警察庁公式HPより)。
同意申請・事前通報の具体的な手続き
レッドゾーン・イエローゾーンで例外的に小型無人機等を飛行させるためには、原則として①対象施設の管理者への同意申請と、②都道府県公安委員会等への事前通報の両方が必要です。警察庁の公表資料に基づき、それぞれの手続きを解説します。
1
施設管理者への同意申請
対象施設の敷地・区域の上空、またはその周囲おおむね1,000メートルの地域の上空で飛行する場合、まず施設管理者の同意を得る必要があります(土地の所有者・占有者の同意による例外等に該当する場合を除く)。防衛関係施設の場合、対象防衛関係施設に指定された自衛隊施設は飛行予定日の10営業日前まで、在日米軍施設・区域は30日前までに、当該施設の管理者へ同意申請を行う必要があります。各地方防衛局が申請手続きの支援を行っています(防衛省公式HPより)。
2
通報書の準備
所定の通報書を準備します。重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律施行規則(平成28年国家公安委員会規則第9号)により、施設管理者等の同意を得て飛行する場合(規則第3条関係)は別記様式第1号、国・地方公共団体の業務として飛行する場合(規則第4条関係)は別記様式第2号を使用します。通報書には飛行区域を示す地図を添付する必要があります。
3
同意証明書・委託証明書の写しの提出
対象施設の管理者等から同意を得て飛行を行う場合は、交付された同意を証明する書面の写しを提出する必要があります。国・地方公共団体の委託を受けた事業者等が飛行を行う場合は、委託を受けたことを証明する書面の写しを提出する必要があります。
4
機器の写真の添付
通報書には、小型無人機等の飛行に係る機器の写真を添付する必要があります。
5
提出先の確認
飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会に通報します。皇居・赤坂御用地に係る対象施設周辺地域の場合は、これに加えて皇宮警察本部長への通報も必要です。対象施設周辺地域が2つ以上の都道府県にまたがる場合は、すべての都道府県公安委員会に通報してください。
6
提出方法の選択
警察署の窓口で提出するほか、e-Gov電子申請サービスからオンラインで通報することもできます。
7
期限内の通報
小型無人機等の飛行を開始する48時間前までに、都道府県公安委員会等への通報を完了させる必要があります。
8
番号の控え・提示
オンライン手続きの場合、手続き終了後の画面に表示された到達番号、または警察の確認後に送信される通知に記載された受付番号を控えます。飛行時に警察官から求められた場合は提示してください。
対象施設周辺地域が同一都道府県内の2つ以上の警察署の管轄にわたる場合は、そのいずれかの警察署を通じて当該都道府県公安委員会に通報してください。海域を含む対象施設周辺地域の場合は管区海上保安本部長への通報、対象防衛関係施設・対象空港の場合は施設管理者への通報が、都道府県公安委員会への通報に加えて別途必要です(警察庁公式HPより)。
施設管理者への同意申請と、都道府県公安委員会等への事前通報は別の手続きです。どちらか一方だけでは飛行できません。特に防衛関係施設周辺では、施設管理者への申請期限(自衛隊施設10営業日前・在日米軍施設30日前)が警察への通報期限(48時間前)より早いため、余裕をもったスケジュールで進める必要があります。
対象施設の種類ごとの同意の取得先と期限
ステップ1の「施設管理者への同意申請」は、施設の種類によって窓口と期限が異なります。官公庁の公表資料で確認できた範囲を整理します。
| 施設の種類 | 同意・通報の窓口と期限(一次情報で確認できた内容) |
|---|---|
| 対象防衛関係施設(自衛隊施設) | 飛行の10営業日前までに、当該施設の管理者へ同意に係る申請を行う。防衛省ホームページに同意申請書(Word)と、施設管理者宛ての通報書様式(防衛省関係の施行規則別記様式第1号・第2号)が掲載されている。都道府県公安委員会への通報に加えて、施設管理者への通報も必要(防衛省・警察庁公式HPより) |
| 対象防衛関係施設(在日米軍施設・区域) | 飛行の30日前までに、当該施設の管理者へ同意に係る申請を行う。申請書の様式は施設ごとに異なり、各施設または各地方防衛局に問い合わせる。各地方防衛局が申請手続の支援を行っている(防衛省公式HPより) |
| 対象空港 | 空港管理者の同意を得たうえで、都道府県公安委員会への通報に加えて、空港管理者への通報が必要。空港管理者の連絡先一覧と通報書の様式は国土交通省のホームページで公表されている。航空法上の許可・承認を得ていても、この手続は別途必要(国土交通省・警察庁公式HPより) |
| 対象危機管理行政機関の庁舎 | 警察庁の「ワンストップ窓口」に、同意願と添付書類を原則10営業日前までに電子メールで提出する。庁舎以外の対象施設の同意は別途必要。人口集中地区に該当する場合は、航空法の国土交通大臣の許可・承認も原則別途必要(警察庁公式HPより) |
国会議事堂等、外国公館等、政党事務所、原子力事業所など上記以外の対象施設については、同意の取得先や申請期限が警察庁の指定一覧(対象施設の一覧ページ)には示されていません。飛行予定地が該当する場合は、各施設の管理者と管轄の警察署に個別にご確認ください。
災害等緊急時の特例
災害その他緊急やむを得ない場合に限り、小型無人機等の飛行を行う直前までに、管轄警察署に口頭で通報することで足りるとされています。ただし、この場合であっても施設管理者への同意が前提となるため注意が必要です(警察庁・都道府県警察公式HPより)。
飛行日からの逆算スケジュール
通報書には同意を証明する書面の写しを添付するため、同意の取得が先、通報が後の順になります。飛行日から逆算した目安は次のとおりです。
| 時期 | 行うこと |
|---|---|
| 飛行の30日前まで | 在日米軍施設・区域の場合、施設管理者へ同意に係る申請(期限) |
| 飛行の10営業日前まで | 自衛隊施設の場合、施設管理者へ同意に係る申請(期限)。対象危機管理行政機関の庁舎の場合は、ワンストップ窓口へ同意願を提出(原則) |
| 同意の取得後 | 同意を証明する書面の写しを入手し、通報書・飛行区域を示す地図・機器の写真を準備 |
| 飛行の48時間前まで | 管轄警察署を経由して都道府県公安委員会へ通報(e-Govまたは窓口)。対象防衛関係施設・対象空港は施設管理者へも通報。皇居・赤坂御用地は皇宮警察本部長、海域を含む場合は管区海上保安本部長へも通報 |
| 飛行当日 | 到達番号または受付番号を控えて携行し、警察官から求められたら提示 |
上記の期限は「遅くともこの日まで」という締切です。同意の審査に要する日数は施設により異なりますので、余裕をもって申請してください。航空法上の許可・承認が必要な飛行では、その申請(標準処理期間は10開庁日)も別途必要です。
実務対応チェックリスト
施設の種類(防衛関係施設・空港・原子力事業所等)によって施設管理者への手続き方法は異なります。飛行を予定している対象施設がある場合は、事前にその施設の管理者へ確認してください。
飛行予定地の対象施設が何であるか(国会議事堂・防衛関係施設・空港・原子力事業所等)を確認した
施設管理者への同意申請の要否・期限(防衛関係施設は自衛隊施設10営業日前・在日米軍施設30日前)を確認した
都道府県公安委員会等への通報に必要な様式(別記様式第1号・第2号等)を確認した
通報書、飛行区域を示す地図、機器の写真を準備した
施設管理者からの同意証明書の写し(または委託証明書の写し)を準備した
例外の類型(①施設管理者の同意/②土地所有者等/③国・地方公共団体の業務)のどれに当たるかを確認した
飛行の48時間前までに都道府県公安委員会等への通報を完了する計画を立てた
追加の通報先(施設管理者・皇宮警察本部長・管区海上保安本部長)の要否を確認した
到達番号または受付番号を控え、飛行時に携行する
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よくある質問
レッドゾーンとイエローゾーンでは罰則にどのような違いがありますか?
レッドゾーン(対象施設の敷地・区域)で無許可の飛行を行った場合、または警察官等の命令に違反した場合は、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。イエローゾーン(周辺おおむね1,000メートルの地域)で事前通報等の要件を満たさずに飛行した場合は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。イエローゾーンでの違反は、令和8年7月14日施行の改正により、警察官等の命令を経ずに直接罰則の対象となる「直罰化」がなされています。
事前通報はいつまでに行う必要がありますか?
小型無人機等の飛行を行う48時間前までに、飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会に通報する必要があります。
通報はオンラインでできますか?
はい。警察署の窓口での提出のほか、e-Gov電子申請サービスからオンラインで通報することができます。オンライン手続終了後の画面に表示された到達番号、または警察における確認後に送信される通知に記載された受付番号を控え、飛行の際に警察官から求められた場合には提示してください。
通報書にはどのような書類が必要ですか?
所定の通報書に、飛行区域を示す地図と、小型無人機等の飛行に係る機器の写真を添付する必要があります(航空法第132条の5第1項により登録記号が表示されている機器は、写真の添付は不要です)。重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律施行規則(平成28年国家公安委員会規則第9号)により、施設管理者等の同意を得て飛行する場合(規則第3条関係)は別記様式第1号、国・地方公共団体の業務として飛行する場合(規則第4条関係)は別記様式第2号を使用します。また、対象施設の管理者等から同意を得て飛行する場合は同意を証明する書面の写しを、国・地方公共団体の委託を受けて飛行する場合は委託を証明する書面の写しを、それぞれ提出する必要があります。
皇居や赤坂御用地の周辺で飛行する場合、追加の手続きはありますか?
はい。皇居、赤坂御用地に係る対象施設周辺地域で小型無人機等を飛行させる場合、都道府県公安委員会への通報に加えて、対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して皇宮警察本部長への通報が必要です。
施設管理者への同意申請の期限は、対象施設の種類によって違いますか?
違います。防衛省の案内では、自衛隊施設は飛行の10営業日前まで、在日米軍施設・区域は30日前までに施設管理者へ同意に係る申請を行うこととされています。対象危機管理行政機関の庁舎は、警察庁のワンストップ窓口に原則10営業日前までに同意願を提出します。いずれも、都道府県公安委員会等への通報(48時間前まで)より早い締切です。
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