【登録講習機関】国土交通省航空局の厳重注意について

- 令和6年10月、国土交通省航空局から登録講習機関に対してはじめて厳重注意が出されました
- 違反事例は7項目|書類不備・審査員選任の誤り・必修科目未実施・採点誤り・事務規程未改訂・料金規定違反・記録簿未記載
- 事務規程が受理されても、法令・告示・取扱要領を遵守していなければ不適切と判定されます
- 令和8年5月29日に監査実施要領・細則が改正|監査実施団体は事務規程の変更届出が必要です
無人航空機操縦者技能証明の登録講習機関に対して、国土交通省航空局からはじめて厳重注意が出されました(令和6年10月25日公表、国空無機第57901号)。この記事では7つの違反事例の内容を確認し、登録講習機関が運営上注意すべきポイントを解説します。
厳重注意の概要
国土交通省は令和6年10月25日、報道発表資料として登録講習機関への厳重注意を公表しました。対象となった登録講習機関に対し、以下の7項目について是正を求める厳重注意通知書(国空無機第57901号)が発出されています。
- 入学申請者に提出を求める申請書添付書類の不備及び不保存
- 審査員研修修了証明書の発行を受ける前の審査員による修了審査の実施
- 実地講習における必修履修科目の未実施
- 本来修了審査に合格していない者に対する修了証明書の発行
- 取扱要領の改正に伴う事務規程変更の未実施
- 事務規程に規定されていない講習料金の徴収
- 講習記録簿における記載事項の未記載
各違反事例の内容と監査で確認されるポイント
① 入学申請書添付書類の不備・不保存
無人航空機の登録講習機関及び登録更新講習機関に関する省令(令和4年国土交通省令第59号。以下「省令」という。)第12条第2項においては、登録講習機関は入学申請書及びその添付書類を備え、無人航空機講習を修了した日から3年間保存することが規定されている。当該規定を踏まえ、貴社の無人航空機講習事務規程(以下「事務規程」という。)6-2において入学申請書の添付書類について規定されており、民間技能認証等を有する者であって講習科目の一部の減免を受けようとする者は、該当する民間技能認証等の写し等を提出させることとされている。しかしながら、貴社においては講習科目の一部の減免を受けようとする者の民間技能認証等の写しが備えられておらず、また、保存されていなかった。
国空無機第57901号『厳重注意通知書』
省令において、入学申請書とその添付書類は講習修了日から3年間保存することが義務付けられています。どのような書類を受講者から提出させるかは事務規程に記載します。
講習科目の一部免除を行う場合は免除の条件を事務規程に定め、免除対象者がいる場合は必ず帳簿に記録します。監査では、免除の条件が明確になっているか、免除した記録が残っているかを確認します。
② 審査員研修修了証明書の発行前の修了審査実施
航空法(昭和27年法律第231号。以下「法」という。)第132条の72及び省令第6条第4号に基づき、無人航空機講習事務の実施に際して、登録講習機関の講師は、登録講習機関の教育の内容の基準等を定める告示(令和4年国土交通省告示第951号。以下「告示」という。)で定める基準に適合する研修を受講することが求められており、告示第2条第3項第2号においては、審査員研修修了証明書を保持している者に限り、登録講習機関の修了審査員として選任することとされている。しかしながら、貴社においては審査員研修は受講していたものの、審査員研修修了証明書が発行される前に、当該修了証明書を所有していない者が修了審査員として修了審査を行っていた。
国空無機第57901号『厳重注意通知書』
修了審査員として審査を行うには、指定試験機関が発行する審査員研修修了証明書を手元に持っていることが必要です。研修の受講を完了しただけでは不十分で、証明書が届いて初めて修了審査員として選任できます。
なお、修了審査員研修の有効期間は3事業年度(3年)です。期限が切れないよう、管理者が各審査員の有効期限を定期的に確認する体制を整えておく必要があります。
③ 実地講習における必修履修科目の未実施
法第132条の72及び省令第6条第1号に基づき、無人航空機を飛行させる能力を習得させるための課程に係る必要履修科目の教育時間等の教育の内容及び教育の方法が告示で定める基準に適合するものであること等が求められている。しかしながら、貴社においては、一等に係る実施講習において、告示に規定される履修科目の一部を修了していない者に対して、修了審査を行い、修了証明書が発行されていた。
国空無機第57901号『厳重注意通知書』
実地講習については、告示別表第二(令和8年6月5日施行の改正後は別表第三)に必要履修科目および必要時間数が定められています。事務規程の別添として講習科目・時間数・時間割を届け出ますが、航空局に受理されたからといって告示の基準を満たしているとは限りません。
④ 修了審査に合格していない者への修了証明書発行
法第132条の72及び省令第6条第9号に基づき、修了審査に合格した者に対してのみ修了証明書を発行することが求められており、無人航空機操縦士実地試験実施基準等(以下「実施基準等」という。)において修了審査の実施方法を規定している。実施基準等においては、採点は100点からの減点式採点法とし、各試験科目終了時に、一等無人航空機操縦士実地試験であれば80点以上、二等無人航空機操縦士実地試験であれば70点以上の者を合格とすると規定している。しかしながら、貴社においては修了審査において適切な採点方法がとられておらず、実施基準等において定められる採点方法では合格基準点に達していない者に対して修了証明書が発行されていた。
国空無機第57901号『厳重注意通知書』
修了審査の採点は100点からの減点方式で行います。合格基準は一等が80点以上、二等が70点以上です。採点は「無人航空機操縦士実地試験実施細則 回転翼航空機(マルチローター)」等に定める減点適用基準に従って実施します。
減点累計で合格基準を下回った場合は不合格となります。また、即時試験中止となる減点細目もあります。修了証明書は修了審査に合格した者にのみ発行できます。
⑤ 取扱要領の改正に伴う事務規程変更の未実施
法第132条の74第2項においては、事務規程に無人航空機講習の実施方法、無人航空機講習に関する料金その他の省令で定める事項を定めておかなければならないこととされており、省令第8条においては、事務規程に記載すべき事項が定められている。さらに、登録講習機関の登録等に関する取扱要領(以下「取扱要領」という。)では事務規程に規定すべき事項の詳細を規定している。本年6月に取扱要領の改正が施行されたところであるが、貴社においては事務規程に記載すべき事項が記載されないまま講習事務が実施されていた。
国空無機第57901号『厳重注意通知書』
令和6年3月8日に「登録講習機関の登録等に関する取扱要領」が改正され、同年6月9日以降は改正内容に沿った事務規程であることが求められていました。対象の登録講習機関は変更届の提出が遅れていたため、この違反となりました。
⑥ 事務規程に規定されていない講習料金の徴収
法第132条の74及び省令第8条に基づき、事務規程に無人航空機講習の料金を定めることが求められているが、貴社においては事務規程に記載されていない割引価格にて料金を徴収していた。
国空無機第57901号『厳重注意通知書』
受講者から徴収する講習料金は、事務規程の別添「講習事務手数料」に届け出る必要があります。割引価格での徴収を行う場合も、その条件・金額を事務規程に記載して届け出なければなりません。
監査では受講者への請求・入金記録と事務規程に記載された手数料の一致を確認します。金額が一致しない場合はその理由をヒアリングします。
⑦ 講習記録簿における記載事項の未記載
貴社の事務規程において、講習記録簿(学科及び実地)の受講日や時間数等を記載する様式が定められているが、貴社においては学科、実地ともに講習後に時間数が記載されていなかった。
国空無機第57901号『厳重注意通知書』
講習記録簿には以下の項目を記載することが取扱要領に定められています。
| 記録簿の種類 | 必須記載事項 |
|---|---|
| 講習記録簿(学科・実地) | 講習科目、講習日(受講日)、講習時間数、講習を行った講師名 |
| 修了審査の採点用紙 | 修了審査科目、修了審査日、修了審査員名、減点の回数、各減点の減点細目 |
航空局に届け出た様式を使用して記録することが求められます。様式に項目が記載されていても、実際に記入されていなければ不適切と判定されます。
監査での判定基準と是正対応
登録講習機関等監査実施要領の判定基準では、以下の場合に「不適切」と判定されます。
| 判定 | 該当する場合 |
|---|---|
| 重大な不適切 | 航空法・省令・告示など法令等に違反する事項、または社会的影響等に鑑み重大と認められる事項 |
| 不適切 | ①準拠基準または届出規程に適合していない事項 ②講習事務体制が適切でないまたは潜在的なリスクがある事項 ③事業者が独自に設定した規程等に適合していない事項 |
| 要検討 | 不適切とまではいえないが、是正の検討が求められる事項 |
監査実施団体の監査員でもある行政書士が担当しますので、監査の実務的な視点からサポートします。
よくある質問
→ 【令和8年6月5日施行】実地試験実施基準の改正で登録講習機関がすべき手続きと監査対策
📋 監査実施団体の方へ(登録講習機関向けではありません)
→ 登録講習機関等監査実施団体の設立等
→ 【令和8年5月29日施行】登録講習機関等監査実施要領・細則の改正と監査実施団体がすべき事務規程の変更
