一等無人航空機操縦士 実地試験(基本)|4回の受験と不合格から学んだ減点基準と練習のポイント【行政書士かわさき事務所】

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一等無人航空機操縦士の実地試験(基本)|4回の受験と不合格から学んだ減点基準と練習のポイント

この記事のポイント

  • 筆者は4回の受験を経て一等無人航空機操縦士(基本)を取得
  • 基本の実技試験は「高度変化を伴うスクエア飛行」「ピルエットホバリング」「緊急着陸を伴う8の字飛行」の3科目。すべてGNSS・ビジョンセンサー等の水平方向の位置安定機能OFFで実施
  • 1回目の不合格原因は高度変化を伴うスクエア飛行のD→E地点移動中に風で不合格区画に進入(即試験中止)
  • 2回目、3回目の不合格原因はピルエットホバリングの離着陸時および旋回時の減点区画進入(直径2m及び直径3mの区画から逸脱、1回5点減点)
  • 減点適用基準「不」に該当しない限り、累積減点が80点を下回っても試験は続行される
  • 練習の心がけは「本番では練習の50〜60%しか発揮できない」前提で精度を上げること

本記事は、試験本番に弱い筆者が4回の受験を経て一等を取得するまでの記録です。不合格の原因や練習の試行錯誤をありのままに書いています。これから実地試験を受験される方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

本記事の対象範囲

本記事で解説するのは、一等無人航空機操縦士の実地試験のうち「基本」(実施細則 III章、18ページまで)の内容です。

基本の実技試験は以下の3科目で構成されます。すべてGNSS・ビジョンセンサー等の水平方向の位置安定機能OFFの状態で実施されます。

科目番号科目名飛行高度制限時間
4-1高度変化を伴うスクエア飛行1.5m ⇔ 3.5m6分
4-2ピルエットホバリング3.5m3分
4-3緊急着陸を伴う8の字飛行1.5m5分
夜間飛行(昼間飛行の限定変更)、目視外飛行(目視内飛行の限定変更)、25kg以上(最大離陸重量25kg未満の限定変更)はそれぞれ別の試験であり、本記事では扱いません。

受験前にアドバイスをもらったこと

筆者は本番に弱いということもあり、受験にあたりいくつかアドバイスをもらいました。試験を振り返ると、このアドバイスの意味がよく理解でき、受験前に知っておいて本当に良かったと感じています。

本番では練習の50〜60%しか実力は発揮できない
試験本番は緊張や環境の違いから、普段の練習で発揮できる実力の50〜60%程度しか出せないものだと考えること。だからこそ、練習の精度を上げることが合格への近道になる。
基本はホバリング。当て舵していることが分からない操縦を目指す
基本操作はホバリングであり、機体がどの向きを向いているときでもセンサーが効いているときと同じように機体が安定して止まっている状態を保てるよう練習すること。当て舵を入れていることが周囲から分からないほど丁寧な操縦を目指すことが重要。

この2点は、後述する2、3回目の不合格原因と直結しています。「練習でできないことは本番でできるわけがない」ので練習の精度が不十分でした。

減点適用基準の詳細

一等実地試験の採点は、100点の持ち点からの減点式採点法です。実施細則の減点適用基準に従い、「不・10・5・1」の減点が適用されます。

一等無人航空機操縦士実地試験実施細則 机上試験

引用:一等無人航空機操縦士実地試験実施細則(5ページ)より抜粋

実技試験の主な減点項目

減点細目減点適用事項(抜粋)
航空法等の違反不合格登録を受けていない機体の飛行、必要な許可・承認の未取得など
危険な飛行不合格概ね5m/s以上の危険な速度での飛行、操縦装置を両手で保持しないなど
墜落、損傷、制御不能不合格墜落、物件への衝突、損傷、制御不能、8の字飛行で円形経路の中心を含まず周回など
飛行空域逸脱(不合格区画)不合格機体の半分以上を不合格区画に進入させたとき
制限時間超過不合格各科目の制限時間を超過したとき
操作介入不合格安全確保のため試験員等が代わりに操縦を行ったとき
飛行経路逸脱5点機体の半分以上を減点区画に進入させたとき
指示と異なる飛行5点飛行経路逸脱後に試験員の指示どおりに飛行経路に概ね2秒以内に復帰できないとき、
ピルエットホバリングの回転が16秒未満または26秒以上だったときなど
離着陸不良5点接地時に強い衝撃を加えたとき、離着陸時に機体を転倒させたとき
ふらつき1点飛行経路・高度において機体を大きくふらつかせたとき、着陸時に機体を滑らせたとき
不円滑1点合理的な理由なく急加減速・急旋回・急停止させたとき、高度を一定の割合でなく急に変化させたとき
機首方向不良1点一時的に機首が指示と異なる方向を向いたとき、機首方向を大きくふらつかせたとき

合格基準と「80点ルール」

合格基準は実地試験終了時に80点以上の持ち点を確保していることです。

減点適用基準「不」に該当しない限り、試験は続行される
累積減点により80点を下回ったとしても、「不」の項目(即試験中止)に該当しなければ試験は最後まで続行されます。筆者が2、3回目に経験したように、口述試験(事故・重大インシデントの報告)まで進みながら実技試験の累積減点で不合格となるケースもあります。

減点区画への初回進入と「2秒ルール」

実施細則には、減点区画への進入について以下の規定があります。

飛行区画ごとの減点区画への初回進入は、概ね2秒以内に復帰すれば減点なし
移動開始地点から移動完了地点への飛行区画ごとの初回の進入については、試験員から飛行経路に戻るよう指示された後、概ね2秒以内に飛行経路に復帰した場合は減点されません。筆者が4回目の受験でスクエア飛行中に逸脱があったにもかかわらず合格できた要因の一つがこの規定です。
単に「初回は減点除外」ではなく、2秒以内の復帰が条件です。飛行経路逸脱をとられなくても、試験員の指示の後に2秒を超えてもなお減点区画にある場合は「指示と異なる飛行」として5点減点されます

ピルエットホバリングの逸脱基準

ピルエットホバリング旋回中の逸脱は、離着陸・通常ホバリング時の直径2mの規定とは異なる基準が適用されます。

ピルエットホバリング(実施細則 4-2)の飛行領域図に示されたとおり、旋回中は離着陸地点中心から半径1.5m(直径3m)の区画が基準となり、この区画から減点区画に機体の半分以上が進入するたびに5点の減点が適用されます。これについては飛行区画はありませんので、減点区画への初回進入から5点減点されます。

一等無人航空機操縦士実地試験実施細則 机上試験

引用:一等無人航空機操縦士実地試験実施細則(15ページ)より抜粋

ピルエットホバリングの回転速度は20秒程度で1回転とされています。16秒未満または26秒以上の場合は「指示と異なる飛行」として5点の減点が適用されます。

4回の受験記録

筆者は4回の受験を経て一等無人航空機操縦士(基本)を取得しました。各回の状況と不合格原因を整理します。

1回目不合格
高度変化を伴うスクエア飛行で不合格区画に進入
D地点から下降しながらE地点へ向かう際、奥方向からの風に対処できず不合格区画(赤コーン)に進入。減点適用基準「不」に該当し、その場で試験中止・不合格となった。
1回目の不合格後、気づけば4回目の受験までに約40時間ほど飛行訓練での飛行記録が積み重なっていました。
2回目不合格
ピルエットホバリング・離着陸時の累積減点
口述試験(事故・重大インシデントの報告)まで進んだものの、離陸・着陸時に直径2mの円から逸脱、さらにピルエットホバリング旋回中に半径1.5mの区画から複数回逸脱(各5点減点)。特にピルエットホバリングでの逸脱が多数重なり、累積減点が合格基準を下回った。試験は最後まで続行されたが結果は不合格。
3回目不合格
同じく離着陸・ピルエットホバリングの累積減点
2回目と同様の箇所で逸脱が重なり不合格。2回連続で同じ原因での失敗となり、離着陸の精度とピルエットホバリングの安定性向上を最優先課題として練習に取り組んだ。
4回目合格
スクエア飛行で逸脱があったが、初回進入の2秒復帰で減点なし。合格
高度変化を伴うスクエア飛行中に減点区画へ進入したものの、飛行区画への初回進入時に概ね2秒以内に飛行経路に復帰できたため減点が適用されなかった。離着陸・ピルエットホバリングの精度向上が功を奏し、累積減点が合格ライン内に収まった。
2〜4回目はいずれも口述試験(事故・重大インシデントの報告)まで進みました。実技試験中の累積減点の状況は受験者には知らされません。「もう不合格かもしれない」と思っても、最後まで丁寧に飛行し続けることが重要です。

高度変化を伴うスクエア飛行で苦労したこと

一等無人航空機操縦士実地試験実施細則 机上試験

引用:一等無人航空機操縦士実地試験実施細則(15ページ)より抜粋

C地点への上昇中に位置を見失う

この科目は高度1.5mから3.5mまでの高度変化を伴いながら直線上を飛行します。とりわけ難しかったのが、B地点からC地点へ向かって高度を1.5mから3.5mに上げながら奥方向へ進む場面です。

  • 上昇しながら奥方向へ進む複合操作で、機体の位置を目視で正確に把握しにくくなる
  • 横方向の逸脱が視覚的に確認しにくい
  • 奥方向への距離感がつかめず、行き過ぎや手前での停止が起きやすい
1回目の不合格は、D地点からE地点へ高度を3.5mから1.5mに下降しながら移動する場面で、奥方向から吹いてきた風に対処できず不合格区画に進入したことが原因でした。機体の向きがどの方向にあるときでも、風に対処できる準備が必要です。

克服のために取り組んだこと

  • 実際の試験コースと同じ大きさ・高さで、B→C地点およびD→E地点の進入を繰り返し練習する
  • 横方向の逸脱を確認できるよう、地面に目印を置いてコースを可視化する
  • 上昇・下降と前進を同時に行う複合操作に慣れるための反復練習
C地点付近は「どこにいるかわからなくなる」前提で練習しました。上昇に意識が向きすぎると横方向のズレに気づけません。5m進めながら2m上昇や下降の高度変化を行う角度を意識しながら練習しました。

ピルエットホバリング・離着陸で苦労したこと

一等無人航空機操縦士実地試験実施細則 机上試験

引用:一等無人航空機操縦士実地試験実施細則(15ページ)より抜粋

なぜピルエットホバリング・離着陸で失点するのか

ピルエットホバリングや離着陸は、スクエア飛行や8の字飛行と比べて「簡単」に思えます。しかし減点は確実に積み重なります。かつ、減点区画への初回進入から5点減点となります。

  • 通常ホバリング・着陸時:離着陸地点中心から直径2mの円から逸脱するたびに5点減点
  • ピルエットホバリング旋回中:離着陸地点中心から半径1.5m(直径3m)の区画から減点区画に進入するたびに5点減点
  • 回転速度:20秒程度で1回転が基準。16秒未満または26秒以上で5点減点
2、3回目の不合格はどちらもピルエットホバリングと離着陸時の逸脱が積み重なったことが主因でした。ピルエットホバリング1周の間に複数回逸脱してしまうと、それだけで20点以上の減点になることもあります。累積減点が合格ラインの20点をあっという間に超えてしまいます。

克服のために取り組んだこと

  • 離着陸の反復練習:直径2mの円を地面に描き、円内での安定した離着陸を繰り返す。「なんとなく」ではなく、意図的に円の中心に降りることを意識する
  • ピルエットホバリングを練習では60秒かけて1周:本番の基準(約20秒で1回転、16〜26秒)よりはるかにゆっくり旋回することで、機首の向きが変わるたびに生じる操縦の変化に丁寧に対応する練習を行った。「逸脱しないこと」を最優先にして精度を上げてから、徐々に回転速度を本番の基準に近づけた
ピルエットホバリングは「速く正確に回れる」ことが目的ではありません。まずは60秒かけて1周するくらいのゆっくりした旋回で逸脱ゼロを目指す練習をしました。
基本操作はホバリングです。機体がどの向きを向いているときでも、センサーが効いているときと同じように機体を安定させることを常に意識しました。当て舵していることが周囲から分からないほど丁寧な操作が合格への基礎となったと思います。

練習で心がけたこと

「本番は練習の50〜60%」を前提にする

受験前にもらったアドバイスで最も重要だったのが、「試験本番では練習時の50〜60%程度しか実力を発揮できない」という前提に立つことです。

筆者は本番に弱く送信機(プロポ)を持つ親指は震えてスティック操作が難しい時もあります。それを抑え込めるくらい練習しました。

練習では「だいたいできる」ではなく「確実にできる」を目指しました。

科目別に意識したこと

高度変化を伴うスクエア飛行
B→C地点の上昇とD→E地点の下降を、実際の試験コースと同じ大きさ・高さ(1.5m⇔3.5m)で繰り返し練習。操縦する位置から上昇及び下降の角度を何度も確認して飛行させた。

ピルエットホバリング・離着陸
ピルエットホバリングは60秒かけて1周する練習から始め、安定してきたら20秒程度に近づけた。離着陸は地面の目印を使い、直径2mの円内への精度を高めた。

緊急着陸を伴う8の字飛行
8の字飛行の円直径は約5m。GNSSオフの状態で一定速度での周回。ただ、この練習はあまり行いませんでした。他科目の練習に疲れたときにちょっとやってみるくらいでした。

指定試験機関での実地試験で使用する機体は現在Mavic3Classicです。

受験を終えて

4回の受験を経て一等(基本)を取得してみると、不合格になった原因はいずれも「基本操縦の精度が足りなかった」ことに集約されます。

特に2、3回目は口述試験まで進んだにもかかわらず不合格となりました。実技試験の時点で既に累積減点が積み重なっており、ピルエットホバリングと離着陸の精度不足で、根本原因でいうと機体制御ができていませんでした。

一等の実地試験(基本)は、3科目の飛行の難しさよりも「離着陸・ホバリングという基本操作の精度」が合否を左右します。地味な操作の安定性を磨くことが、合格への最短経路だと感じています。

これから一等実地試験を受験される方へ。「不」に該当しない限り、減点が累積しても試験は続行されます。途中でミスがあっても最後まで丁寧に飛行し続けてください。初回進入で2秒以内に復帰すれば減点されない規定もあります。4回目の筆者がスクエア飛行で逸脱しながら合格できたのは、この規定と、その後の飛行で逸脱を最小限に抑えられたからです。

技能証明取得後の飛行許可申請について

一等・二等いずれの技能証明を取得し機体認証機を飛行させる場合でも、飛行空域や飛行方法によっては引き続き飛行許可・承認申請が必要なケースがあります。

  • 高度150m以上の上空、空港等の周辺
  • 催し場所上空での飛行・危険物の輸送・物件投下を伴う飛行
  • 個別の許可・承認が必要な特定の空域での飛行
  • レベル3、レベル3.5、レベル4飛行
技能証明を取得しても「どこでも自由に飛ばせる」わけではありません。飛行予定の場所・方法に応じて申請が必要かどうかを都度確認してください。

行政書士かわさき事務所では、技能証明取得後の飛行許可・承認申請も承っています。高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送・物件投下、レベル3、レベル3.5、レベル4飛行など難易度の高い申請もお気軽にご相談ください。実際にドローンを操縦できる行政書士が対応します。

よくある質問

一等実地試験(基本)の減点は累積何点で不合格になりますか?
合格基準は100点満点中80点以上です。累積減点が20点を超えると不合格となりますが、減点適用基準「不」の項目に該当しない限り、80点を下回っても試験は最後まで続行されます。
ピルエットホバリングで減点区画に進入した場合の減点はどうなりますか?
ピルエットホバリング旋回中は、離着陸地点中心から半径1.5m(直径3m)の区画が基準で、この区画から減点区画に機体の半分以上が進入するたびに5点の減点が適用されます。なお通常のホバリング・着陸時の基準は直径2mです。また回転速度が16秒未満または26秒以上の場合も5点減点となります。
減点区画への初回進入でも減点されますか?
飛行区画ごとの初回の進入については、試験員から進入した旨を知らされた後、概ね2秒以内に飛行経路に復帰した場合は減点されません。2秒以内に復帰できなかった場合は「指示と異なる飛行」として減点の対象となります。2回目以降の進入は「飛行経路逸脱」として減点の対象となります。なお、飛行区画がないピルエットホバリングなどは初回の進入から減点されます。
練習と本番のギャップを埋めるにはどうすればよいですか?
本番では練習時の50〜60%程度しか実力が発揮できないと考え、練習の精度を100%に近づけることが重要です。センサーが効いているときと同じように、当て舵していることが分からないほど丁寧な操縦を目指しましょう。
技能証明を取得した後も飛行許可承認申請は必要ですか?
機体認証を取得した機体との組み合わせであっても、飛行空域や飛行方法によっては引き続き飛行許可・承認申請が必要なケースがあります。高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送・物件投下、レベル4などは必要です。機体認証を取得していない機体を飛行させる場合は、申請が必要です。

技能証明取得後の飛行許可承認申請もお任せください

高度150m以上、催し場所上空、危険物輸送・物件投下、レベル3/3.5/4など難易度の高い申請も対応しています
初回相談無料・全国対応

監修者

行政書士かわさき事務所
ドローン法務を専門とする行政書士
ドローンに関連する事業者様、個人のお客様のサポートをしながら、私自身もドローンの操縦者として練習中です。
二等無人航空機操縦士の資格も取得しました。
ドローンを実際に操縦するからこそ、ドローンの楽しさ、危険性、将来性など、身近に感じることができます。
ドローンに関する幅広い提案ができると考えております。