【航空法と罰則】ドローンの違反行為と罰則一覧|行政処分まで行政書士が解説

- ドローンの違反行為には刑事罰(拘禁刑・罰金)と、技能証明保有者への行政処分(取消・停止)の2種類がある(※「拘禁刑」は令和7年6月1日施行の法改正で「懲役」から名称変更)
- 最も重い罰則は救護義務違反で2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 飲酒・薬物影響下での飛行は1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。微量のアルコールでも禁止
- 罰則は「知らなかった」では免れない。飛行前に関連法令を確認することが必須
- 技能証明保有者は罰則に加えて技能証明の取消・効力停止の行政処分を受ける可能性がある
無人航空機(ドローン等)を飛行させる際には、航空法をはじめとする関連法令上の運航ルールを遵守しなければなりません。違反した場合、拘禁刑・罰金などの刑事罰の対象となり、技能証明(国家資格)を保有している場合はさらに取消・停止などの行政処分が科される可能性があります。
「知らなかった」では罰則を免れることはできません。この記事では、違反行為と罰則の内容を行政書士がわかりやすく解説します。根拠条文の詳細は国土交通省公式ページをご確認ください。
違反行為と罰則一覧
航空法上のドローン関連の罰則を重い順に整理します。各違反行為の根拠条文については国土交通省「無人航空機の飛行ルール」をご確認ください。
| 違反行為 | 罰則 |
|---|---|
| 事故発生時に飛行を中止せず、負傷者の救護など危険防止措置を講じなかったとき最重 | 2年以下の拘禁刑 または100万円以下の罰金 |
| 登録を受けていない無人航空機を飛行させたとき重 | 1年以下の拘禁刑 または50万円以下の罰金 |
| アルコールまたは薬物の影響下で公共の場所の上空において無人航空機を飛行させたとき重 | 1年以下の拘禁刑 または30万円以下の罰金 |
|
以下のいずれかに該当する場合中 ・登録記号の表示またはリモートIDの搭載をせずに飛行させたとき ・規制対象となる飛行の区域または方法に違反して飛行させたとき ・飛行前の確認をせずに飛行させたとき ・航空機または他の無人航空機との衝突防止をしなかったとき ・他人に迷惑を及ぼす飛行を行ったとき ・機体認証で指定された使用の条件の範囲を超えて特定飛行を行ったとき |
50万円以下の罰金 |
|
以下のいずれかに該当する場合中 ・飛行計画を通報せずに特定飛行を行ったとき ・事故が発生した場合に報告をせず、または虚偽の報告をしたとき |
30万円以下の罰金 |
|
以下のいずれかに該当する場合軽 ・技能証明を携帯せずに特定飛行を行ったとき ・飛行日誌を備えずに特定飛行を行ったとき ・飛行日誌に記載せず、または虚偽の記載をしたとき |
10万円以下の罰金 |
各違反行為の詳細解説
救護義務違反(最重罰則)
無人航空機の飛行に関して事故が発生した場合、操縦者はただちに飛行を中止し、以下の措置を講じなければなりません。これを怠った場合が最も重い罰則(2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)の対象となります。
| 講じなければならない措置 |
|---|
| ただちに飛行を中止する |
| 負傷者を救護する |
| 事故または重大インシデントが発生した日時・場所等を国土交通大臣に報告する |
| 事故等の状況に応じて、危険や被害の拡大を防止するために必要な対処をする(消防への報告・消火活動、警察への事故概要の報告 等) |
機体登録なしでの飛行
100g以上の無人航空機は機体登録が義務付けられており、登録を受けていない機体を飛行させることはできません。違反した場合は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
飲酒・薬物影響下での飛行
アルコールまたは薬物の影響下で、道路・公園・広場・駅等の公共の場所の上空において無人航空機を飛行させることは禁止されています。違反した場合は1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金です。
飛行区域・飛行方法の違反
以下の区域での飛行は、原則として飛行許可承認申請が必要です。申請なしに飛行させた場合は50万円以下の罰金の対象となります。
| 規制区域・飛行方法 |
|---|
| 空港等の周辺の空域 |
| 緊急用務空域(警察・消防等の緊急用務航空機の飛行が想定される場合に指定される空域) |
| 地表・水面から150m以上の高さの空域 |
| 人口集中地区(DID)の上空 |
| 夜間飛行(日没〜日出) |
| 目視外飛行 |
| 人または物件から30m未満での飛行 |
| 催し場所上空での飛行 |
| 危険物の輸送 |
| 物件の投下 |
登録記号の表示・リモートID搭載なしでの飛行
登録を受けた無人航空機には、機体に登録記号を表示するとともに、リモートIDを搭載して飛行させることが義務付けられています。これらを行わずに飛行させた場合は50万円以下の罰金の対象です。
飛行前確認の未実施
無人航空機を飛行させる前には、飛行の安全を確保するための確認事項を行わなければなりません。確認を怠った場合は50万円以下の罰金の対象です。主な確認事項は以下の通りです。
| 確認事項 | 具体例 |
|---|---|
| 日常点検の実施と記録 | 外部点検・作動点検を行い、日常点検記録に記録する |
| 飛行空域及びその周囲の状況確認 | 飛行経路に航空機・他の無人航空機が飛行していないことの確認、第三者が飛行経路下にいないことの確認 |
| 気象情報の確認 | 風速・気温・降雨量が運用限界の範囲内であること、十分な視程が確保されていることの確認 |
| 燃料・バッテリーの確認 | 燃料の搭載量またはバッテリー残量が飛行計画に対して十分であることの確認 |
航空機・他の無人航空機との衝突防止義務違反
無人航空機を飛行させる際は、航空機または他の無人航空機との衝突を予防するように飛行させなければなりません。有人航空機は無人航空機より優先されるため、衝突のおそれがある場合は無人航空機を降下・回避・停止させる必要があります。違反した場合は50万円以下の罰金の対象です。
他人に迷惑を及ぼす飛行の禁止
急降下・不必要な騒音の発生・人への急接近など、他人に迷惑を及ぼすような方法での飛行は禁止されています。違反した場合は50万円以下の罰金の対象です。
飛行計画の未通報
特定飛行を行う場合は、事前に飛行計画(飛行の日時・経路・高度等)をドローン情報基盤システム(DIPS2.0)から国土交通省に通報しなければなりません。通報せずに特定飛行を行った場合は30万円以下の罰金の対象です。
事故・重大インシデントの未報告
事故または重大インシデントが発生した場合、その日時・場所・事案の概要等を国土交通大臣に報告しなければなりません。報告をしなかった場合や虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金の対象です。
事故と重大インシデントの区別は以下の通りです。
| 区分 | 該当する事案 |
|---|---|
| 事故 |
・人の死傷(重傷以上の場合) ・物件の破損 ・航空機との衝突または接触 |
| 重大インシデント |
・航空機との衝突または接触のおそれがあったと認めた場合 ・無人航空機による人の負傷(軽傷の場合) ・無人航空機の制御が不能となった場合 ・無人航空機が飛行中に発火した事態 |
飛行日誌の未備付・虚偽記載
特定飛行を行う操縦者は、飛行・整備・改造等の情報を遅滞なく飛行日誌に記載しなければなりません。飛行日誌を備えずに特定飛行を行った場合、または記載せず・虚偽の記載をした場合は10万円以下の罰金の対象です。
技能証明の未携帯
技能証明を受けた者が特定飛行を行う場合、技能証明書を携帯しなければなりません。携帯せずに特定飛行を行った場合は10万円以下の罰金の対象です。
技能証明保有者への行政処分
罰則(刑事罰)とは別に、技能証明を保有している操縦者に対しては、違反の内容によって以下の行政処分が科される場合があります。
| 処分の種類 | 主な対象となる行為 |
|---|---|
| 技能証明の取消 | 技能証明の取得に不正行為があった場合、航空法その他法令に違反した場合で情状が重いとき |
| 効力の停止 (1年以内の期間) | 航空法その他法令に違反した場合、無人航空機の飛行に関し重大な過失があった場合 |
航空法以外の関連法令
ドローンの飛行に関しては航空法のほかにも複数の法令が適用される可能性があります。
| 法令 | 主な規制内容 |
|---|---|
| 小型無人機等飛行禁止法 | 国会議事堂・首相官邸・防衛施設・原子力施設等の重要施設周辺(現行おおむね300m、改正予定でおおむね1km)での飛行禁止。100g未満の機体も対象 |
| 電波法 | 無線設備を使用するドローンの操縦に使用する無線機器は、技術基準適合証明等を受けたものでなければならない |
| 個人情報保護法・プライバシー権 | ドローンで撮影した映像・画像に個人を特定できる情報が含まれる場合、個人情報保護法の対象となる場合がある |
| 各種条例 | 都道府県・市区町村の条例でドローンの飛行を禁止・制限している場合がある。公園・河川敷等での飛行は事前確認が必要 |
初回相談無料・全国対応|受付時間:9:00〜20:00【土日祝対応】