【令和8年7月14日試験適用】教則第5版の変更点5つを解説|ドローン国家資格の学科試験

この記事のポイント
  • 令和8年7月14日(火)より、無人航空機操縦者技能証明の学科試験が「教則(第5版)」に準拠(令和8年7月7日公布、国土交通省航空局)
  • 国土交通省が公表した改訂履歴によると、第5版での変更点は5つ:①保険の付保範囲拡大、②工業専用地域のDID規制対象外、③農薬散布の承認申請不要の追記、④技能証明の更新申請期間の見直し、⑤小型無人機等飛行禁止法改正の反映
  • 試験形式は変更なし:一等は三肢択一70問・75分、二等は三肢択一50問・30分(指定試験機関:一般財団法人日本海事協会)
  • 第4版での合格証明番号は有効期間(2年間)内であれば引き続き有効

令和8年(2026年)7月14日より、無人航空機操縦者技能証明の学科試験の出題範囲が「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」に準拠します。国土交通省が公表した改訂履歴によると、第4版からの変更点は5つあります。

この記事では、国土交通省航空局が公開した教則第5版の本文および改訂履歴に基づき、変更点の内容と受験者・登録講習機関への影響を行政書士が解説します。

目次

教則第5版の概要

項目内容
名称無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)
公布日令和8年(2026年)7月7日
学科試験への適用開始令和8年(2026年)7月14日(火)
発行元国土交通省航空局
指定試験機関一般財団法人 日本海事協会

教則の改訂履歴

公布日主な改訂内容
初版令和4年9月5日初版発行
第2版令和4年11月2日飛行性能・電波通信の計算式の追記等
第3版令和5年4月13日カテゴリーⅢ飛行のリスク評価に関する記述の見直し等
第4版令和7年2月1日捜索・救助の特例明確化、第三者の定義見直し、レベル3.5飛行の追記、行政処分等基準の追記等
第5版令和8年7月7日下記5点(本記事で解説)
教則は「無人航空機を飛行させるのに必要な最低限の知識要件及び学科試験において求められる最低限の知識要件」を記載することを目的として作成されたものです(教則第5版「1. はじめに」より)。技能証明を取得しようとする者だけでなく、無人航空機を飛行させるすべての者が参照すべき内容が含まれています。

第5版の変更点5つ

国土交通省が公表した「第4版からの変更履歴」によると、第5版での変更点は以下の5つです。

1
保険の付保範囲拡大の反映
カテゴリーⅡ飛行のうち、総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合、またはレベル3.5飛行を行う場合について、不測の事態が発生した際に十分な補償が可能な第三者賠償責任保険への加入が求められることが明記されました。
教則第5版:第2章2.3.3「保険」
2
工業専用地域での飛行に係るDID規制対象外の追記
人口集中地区(DID:Densely Inhabited District)の定義において、「工業専用地域内の区域の上空を除く」ことが明記されました。都市計画法第8条第1項第1号の工業専用地域内の区域において無人航空機を飛行させる場合、DIDに係る許可手続き等が不要です。
教則第5版:第3章3.1.2(2)1)d「人口集中地区」
3
農薬等空中散布の承認申請不要の追記
航空法施行規則第236条の82第1項第2号の規定で定める要件を満たす場合、無人航空機で農薬等の空中散布などを行う際の夜間飛行・目視外飛行・第三者から30メートル以内の飛行・危険物輸送及び物件投下に係る飛行の承認手続きが不要であることが追記されました。
教則第5版:第3章3.1.2(2)3)d「航空法施行規則第236条の82第1項第2号の規定による農薬散布等の例外」
4
技能証明の更新申請期間の見直し
令和7年12月9日公布・施行の航空法施行規則改正(第236条の57)により、技能証明の更新申請は有効期間が満了する日の6か月前から1か月前までの間に行わなければならないことが明確化されました。更新手続きには申請から一定期間を要するため、有効期間満了日の直前の申請では更新手続きが間に合わず失効するおそれがあります。
教則第5版:第3章3.1.2(5)3)「技能証明の交付手続き」
5
小型無人機等飛行禁止法の一部改正の内容反映
令和8年7月14日施行の小型無人機等飛行禁止法改正の内容が反映されました。重要施設の周囲の飛行禁止区域(イエロー・ゾーン)が、これまでのおおむね300メートルからおおむね1,000メートル(1km)に拡大されています。
教則第5版:第3章3.2.1「小型無人機等飛行禁止法」
教則第5版の本文では、イエロー・ゾーンでの違反に対する罰則について「対象施設の敷地の周囲おおむね1000mの上空(イエロー・ゾーン)で小型無人機等の飛行を行った者は、6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処せられる」と記載されています。改訂履歴には明記されていませんが、罰則規定の内容も更新されている点に留意してください。

変更点の詳細解説

①保険の付保範囲拡大

教則第5版の第2章では、無人航空機の保険について次のように記載されています。

飛行の種類求められる保険
カテゴリーⅡ飛行(総重量25kg以上)十分な補償が可能な第三者賠償責任保険への加入
レベル3.5飛行移動中の車両等との接触や交通障害等の不測の事態に備えた第三者賠償責任保険への加入
その他の飛行強制ではないが、任意保険への加入が推奨される

②工業専用地域でのDID規制対象外

この点は、令和8年7月1日から施行された国土交通省告示第435号の内容が教則に反映されたものです。工業専用地域は住宅の建設が認められておらず、居住者がいないことを前提とした用途地域であるため、DID規制の対象から除外されています。

工業専用地域と「工業地域」は異なります。工業地域は住宅の建設が認められており、DID規制の対象から除外されていません。飛行前に必ず用途地域を確認してください。

③農薬等空中散布の承認申請不要

航空法施行規則第236条の82第1項第2号の要件を満たす場合、農薬等の空中散布における夜間飛行・目視外飛行・30m未満飛行・危険物輸送・物件投下の承認手続きが不要になります。要件の詳細は当該規則および関連通達をご確認ください。

④技能証明の更新申請期間の見直し

項目改正前改正後(令和7年12月9日〜)
更新講習の受講可能時期 有効期間満了日の9か月前から 変更なし(9か月前から)
更新申請の期間 有効期間満了日の6か月前から(明確な期限の定めなし) 有効期間満了日の6か月前から1か月前まで
更新申請の期限(有効期間満了日の1か月前)を過ぎると、更新申請ができなくなり技能証明が失効します。失効した場合は新規取得の手続きが必要になるため、余裕を持ったスケジュールで更新手続きを進めてください。

⑤小型無人機等飛行禁止法改正の反映

項目改正前(〜令和8年7月13日)改正後(令和8年7月14日〜)
イエロー・ゾーンの範囲 重要施設の周囲おおむね300mの上空 重要施設の周囲おおむね1,000m(1km)の上空

学科試験への影響

試験形式(変更なし)

区分形式問題数試験時間
一等学科試験三肢択一式70問75分
二等学科試験三肢択一式50問30分

出題科目(4科目構成・変更なし)

第1科目:無人航空機に関する規則(航空法全般、航空法以外の法令等)
第2科目:無人航空機のシステム(機体の特徴・飛行原理・機体構成・整備点検等)
第3科目:無人航空機の操縦者及び運航体制(行動規範・操縦知識・意思決定体制等)
第4科目:運航上のリスク管理(気象・機体種類別リスク・飛行方法別リスク等)
今回の変更点①②③⑤は第1科目「無人航空機に関する規則」に、④は同じく第1科目の技能証明制度に関する部分に該当します。第1科目を中心に学習する際は、これら5点を重点的に確認してください。

該当する方の確認と対応

受験者・受験予定者の方

状況対応
令和8年7月14日より前に学科試験を受験し合格している 合格証明番号の有効期間(合格通知日から2年間)内であれば引き続き有効。再受験不要
令和8年7月14日以降に学科試験を受験する・受験予定 第5版が出題範囲。上記5点の変更内容を確認してから受験
登録講習機関で講習中・受講予定 受講する登録講習機関に第5版への対応状況を確認

受験者・受験予定者以外の方

状況対応
技能証明の有効期間満了が近い 更新申請の期限が有効期間満了日の1か月前に短縮されている。登録更新講習機関での更新講習を受講し、期限内に更新申請を行う
25kg以上の機体での飛行・レベル3.5飛行を行う予定がある 第三者賠償責任保険への加入状況を確認する。未加入の場合は加入を検討する
工業専用地域で業務を行っている DID許可手続きが不要になる場合があるため、自社の飛行場所の用途地域を確認する

登録講習機関の方

登録講習機関の学科講習は教則を最低限の知識要件として実施するため、教則改訂に応じた講習テキストの更新が必要です。具体的な対応については、登録講習機関の事務規程・ガイドラインに従い、国土交通省航空局への確認を行ってください。

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よくある質問

教則第5版はいつから学科試験に適用されますか?
令和8年(2026年)7月14日(火)より適用されます。教則第5版は令和8年7月7日に公布されました(国土交通省航空局「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第5版)」改訂履歴より)。
第5版で第4版から変わった点は何ですか?
国土交通省が公表した改訂履歴によると、変更点は5つです。①保険の付保範囲拡大の反映、②工業専用地域での飛行に係るDID規制対象外の追記、③農薬等空中散布時の承認申請不要の追記、④技能証明の更新申請期間の見直し、⑤小型無人機等飛行禁止法の一部改正の内容反映です。
技能証明の更新申請期間はどう変わりましたか?
令和7年12月9日公布・施行の航空法施行規則改正(第236条の57)により、更新の申請期間が「有効期間満了日の6か月前から1か月前まで」に明確化されました。この期限を過ぎると更新申請ができず技能証明が失効するため、余裕を持った手続きが必要です。
保険の付保範囲拡大とは具体的に何ですか?
教則第5版では、カテゴリーII飛行のうち総重量25kg以上の無人航空機を飛行させる場合、またはレベル3.5飛行を行う場合について、十分な補償が可能な第三者賠償責任保険への加入が求められることが明記されました(教則第5版 第2章2.3.3)。
工業専用地域での飛行はどう変わりましたか?
教則第5版では、人口集中地区(DID)の定義において「工業専用地域内の区域の上空を除く」ことが明記されました。都市計画法第8条第1項第1号の工業専用地域内の区域で無人航空機を飛行させる場合、DIDに係る許可手続き等が不要です(教則第5版 第3章3.1.2(2)1)d)。
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