二等無人航空機操縦士の実地試験|当日の流れと注意点を受験体験をもとに解説

この記事のポイント
  • 実地試験は「机上試験→口述試験(飛行前点検)→実技試験→口述試験(飛行後の点検と記録)→口述試験(事故報告)」の順に実施される
  • 採点は100点からの減点方式で、70点以上が合格。不合格区画への進入・制限時間超過・墜落などは即時不合格
  • 日常点検記録・飛行記録の記載漏れ(登録記号・飛行時間など)が減点になりやすいため要注意
  • 実技試験で使うプロポはスレーブ(子機)でモニターなし。作動点検時のマスター(親機)と異なるため注意

このページでは、指定試験機関である日本海事協会で二等無人航空機操縦士の実地試験を受験した体験をもとに、当日の流れと各科目の注意点を解説します。

※筆者が受験したのは二等(基本)の実技試験です。実施細則上、一等と二等で当日の流れに大きな違いはありませんが、一等の詳細については一等実地試験の受験記もあわせてご覧ください。

実地試験の構成と当日の流れ

実地試験は以下の5科目で構成されており、受験番号順に一人ずつ呼ばれて実施します。

順番科目制限時間
机上試験(飛行計画の作成)5分
口述試験(飛行前点検)
 飛行空域及びその他の確認/作動前点検/作動点検
3分 / 計12分
※令和8年6月5日から制限時間設定
実技試験
 スクエア飛行/8の字飛行/異常事態における飛行
各8分・6分
口述試験(飛行後の点検と記録)
 飛行後点検/飛行後の記録
計5分
※令和8年6月5日から制限時間設定
口述試験(事故、重大インシデントの報告)
 事故・重大インシデントの説明/事故等発生時の処置の説明
各3分
他の受験者の試験の様子は見ることができません。受験番号が後の方は机上試験を受けた部屋で長時間待機することになります。待機中も試験官の監視下にあります。

受付から試験開始まで

会場に到着したらまず受付を済ませます。「関係者」と書かれたビブスを着けた担当者が受付スペースを用意して待っています。

1
本人確認書類を提示する
運転免許証・パスポート等、認められる本人確認書類を持参してください。日本海事協会のシステムで事前に確認できます。
2
受験番号・席に案内される
受付で受験番号が伝えられ、机上試験の部屋へ案内されます。同じ番号のビブスが置かれた席に着席し、開始時間まで待機します。
3
装備品を確認する
机の上にビブス・ヘルメット・ゴーグル・注意事項の紙が置かれています。着席後すぐにビブスを着用してください。ヘルメットとゴーグルは実技試験まで不要ですが、待機中に紐の長さを調整しておくと安心です。
4
通信機器の電源を切る
試験官から当日の流れの説明があり、この時点で通信機器の電源をOFFにするよう指示されます。サイレントモードでは不可で、電源を完全に切る必要があります。試験官が確認します。
ヘルメットやゴーグルの紐の調整は、呼ばれる前に済ませておきましょう。移動中に調整しようとすると、体育館に着いてしまい慌てることになります(筆者の失敗談)。

机上試験(飛行計画の作成)

昼間・目視内・立入管理措置が講じられた条件での飛行計画について、4問の質問に答えます。制限時間は5分です。

大きめの問題用紙とA4回答用紙が配られます。問題用紙には飛行の前提条件・飛行経路・機体の諸元・気象情報などが記載されており、それをもとに設問に答えます。

制限時間は5分と短いです。前提条件や経路を丁寧に読み込みすぎると時間が足りなくなります。まず設問を確認してから必要な情報を参照する順序がおすすめです(筆者は前提条件を読み込みすぎて焦りました)。
学科試験に合格済みであれば内容は難しくありませんが、時間配分の意識が重要です。回答用紙・問題用紙ともに試験終了後に回収されます。

口述試験(飛行前点検)

飛行空域及びその他の確認(制限時間3分)

飛行前点検の各科目への制限時間の設定は令和8年6月5日施行の改正からです。令和8年6月4日以前の受験では制限時間は設けられていませんでした。

試験会場の状況をもとに、以下の確認事項を口頭で答えます。実際の会場(屋内・屋外)の状況に応じて回答することが求められます。

確認事項回答のポイント
飛行空域及びその周辺の状況天井から障害物がないか、第三者が入ってくる可能性はないか等を確認して回答
航空法等の違反屋内の扱い(登録・リモートID等)を踏まえて回答
必要な許可書・証明書の携帯技能証明書等を携帯しているかを確認して回答
操縦者の体調受験当日の自分の体調をそのまま回答
気象状況屋内であれば風・雨の影響がないことを根拠に回答

作動前点検・作動点検(合計制限時間12分)

「日常点検記録」の様式が渡され、それに沿って点検を行います。作動前点検(電源投入前)と作動点検(電源投入後)に分かれています。

日常点検記録の上部「登録記号」や下部「実施場所」の記載漏れが多い傾向があります。実施場所は「○○会場」等の試験会場名で問題ありません。記載漏れは5点減点です。

作動点検では実際にモーターを回して各操縦系統の動作確認を行います。離陸地点直上でホバリングさせた状態で、スロットル・ラダー・エルロン・ピッチ等の操作を行って意図通りに動作するか確認します。

作動点検ではランディングパッドから少し出るような操作をしても特に指摘はありませんでした。ただし主な目的は動作確認なので、練習に時間を使いすぎないようにしてください。リモートID非搭載機の場合は試験官から指示がありますので従ってください。
電源投入の順序はプロポ(操縦装置)を先に入れてから機体です。慌てて逆にしないよう注意してください。作動点検のプロポはマスター(親機・モニター付き)です。

実技試験

実技試験の前に、コーンの色と減点区画・不合格区画の説明があります。

会場例:青コーン=正常ルート、黄コーン=減点区画(進入で警告音)、赤コーン=不合格区画(即時不合格)。警告音は進入中ずっと鳴り続け、音量もそれなりに大きいため焦りやすいです。会場によって異なる場合があります。
実技試験で使用するプロポはスレーブ(子機)でモニターなしです。作動点検時のマスター(親機)とは異なります。指定高度は目視で確認します。高度が不足している場合は試験官から指示があります。

スクエア飛行(制限時間8分)

GNSS・ビジョンセンサー等の水平方向の位置安定機能ONの状態で実施します。高度3.5mまで上昇して5秒間ホバリング後、試験員の口頭指示に従って機首を進行方向に向けたまま直線上を飛行します。

8の字飛行(制限時間8分)

水平方向の位置安定機能ONの状態で実施します。高度1.5mまで上昇して5秒間ホバリング後、機首を進行方向に向けたまま直径約5mの円を8の字に連続2周します。

筆者は8の字飛行が最も苦手でした。手持ちのDJI MAVIC miniとPhantom 4の操作感の違いに戸惑いましたが、Phantom 4のほうがむしろ素直に動いて扱いやすかったです。練習は実際の試験と同じコースサイズ・同じ距離感で行うことを強くおすすめします。

異常事態における飛行(制限時間6分)

水平方向の位置安定機能OFFの状態(GNSSおよびビジョンセンサー等OFF)で実施します。高度3.5mでホバリング後、機首を受験者から見て前方に向けたまま側方へ直線飛行します。試験員から緊急事態宣言→その場でホバリング→緊急着陸指示→指定着陸地点へ移動→着陸、という流れです。

GNSSおよびセンサーのOFF操作は試験員が行います(受験者が行う必要はありません)。
減点区画(飛行区画ごとの初回進入)は、試験員補助員が進入を知らせた後、概ね2秒以内に飛行経路に復帰した場合は減点なし。2秒以内に復帰できなかった場合は5点減点です。
※この「概ね2秒以内」の規定は令和8年6月5日施行の改正から適用されています。

口述試験(飛行後の点検と記録)(合計制限時間5分)

飛行後の点検と記録への制限時間の設定は令和8年6月5日施行の改正からです。令和8年6月4日以前の受験では制限時間は設けられていませんでした。

飛行後点検

飛行前と同じ「日常点検記録」の様式に、飛行後の点検項目を記入します。飛行前と異なり、各機器の異常発熱ゴミ等の付着の確認が追加されます。

飛行後の記録

「飛行記録」の様式に飛行内容を記入します。離陸時間・着陸時間は試験員が記録しており、教えてもらえます。

飛行記録で記載漏れが多い項目は「登録記号」「総飛行時間の計算」です。飛行時間の計算ミスは10点減点です。飛行概要は「資格試験」や「試験飛行」、離発着場所は「○○会場」等で問題ありません。

口述試験(事故、重大インシデントの報告)

事故または重大インシデントについて3つを口頭で答える科目(制限時間3分)と、事故発生時の処置を答える科目(制限時間3分)の2科目です。

事故・重大インシデントの内容は無人航空機の飛行の安全に関する教則(19・20ページ)に記載されています。事故発生時の対応は、直後に取るべき行動と、対応が落ち着いてから必要なこと(報告等)を整理して回答します。

抜けまたは誤りがあった場合は5点減点、制限時間内に未回答の場合も5点減点となります。

試験終了・結果について

事故報告の口述試験が終わると実地試験は終了です。試験終了者から帰宅でき、待機していた机上試験の部屋には戻りません。ビブス・ヘルメット・ゴーグルは体育館出口付近で返却して退出します。

試験当日にその場では結果は公表されません。7営業日以内に日本海事協会のシステムで通知されます。登録メールアドレスにも通知メールが届きます。

よくある質問

実地試験当日に必要な持ち物は何ですか?
本人確認書類(運転免許証・パスポート等)が必要です。ヘルメット・ゴーグル・ビブスは試験会場に用意されています。日本海事協会のシステムで「当日の持ち物」を事前に確認してください。
実地試験の合格基準はどのくらいですか?
100点からの減点方式で、各試験科目終了時に70点以上を確保した場合に合格となります。不合格区画への進入・危険な飛行・墜落・制限時間超過などは即時不合格(試験中止)となります。
実技試験ではどのような機体を使いますか?
試験会場に用意された機体(主にPhantom 4等)を使用します。自分の機体を持ち込む必要はありません。操縦装置(プロポ)は作動点検ではマスター(親機・モニター付き)、実技試験ではスレーブ(子機・モニターなし)を使用します。
実地試験の結果はいつわかりますか?
試験当日にその場では結果は公表されません。7営業日以内に日本海事協会のシステムで通知されます。登録メールアドレスにも通知メールが届きます。
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